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原宿駅というUIの「導線不全」を読み解く―UXデザイナーが歩いて見つけた、サイン計画の罠

Design Ops / 設計・制作

#UX · #駅リサーチ · #サイン計画 · #ウェイファインディング · #原宿 · #Design Ops

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原宿駅というUIの「導線不全」を読み解く―UXデザイナーが歩いて見つけた、サイン計画の罠

はじめに

UXデザインを考える際、私たちはつい画面の中のインターフェースに注視してしまいがちです。しかし、リアルな街、例えば日々膨大なユーザーが交錯する駅という空間もまた、立派な「UI」の一つです。

渋谷駅のような底知れぬガチダンジョン(魔境)に比べれば原宿駅はコンパクトなものですが、それでも実際に歩き、滞留し、観察してみると、新しい駅構造の中で発生している「情報の断絶」や小さな違和感がいくつか見えてきました。UXデザイナーとして、駅という空間におけるユーザー体験の構造を解剖します。

JR原宿駅(Google Map)

関連メモ: 蒲田要塞のUXリサーチ仙台駅のUXリサーチ


1. 原宿駅というUIの解析―「メンタルモデル」の崩壊

原宿駅の改札から通りに出るまでの導線には、特有の滞留ポイントが存在します。調査の結果、ユーザーの直感的な行動を阻害する「サイン計画の不親切さ」が浮き彫りになりました。

  • 左手誘導サインの迷い: 「左側通行」を示す表示に対し、自分の手と照らし合わせるという認知ステップが発生しています。これは、ユーザーの「直感的に進みたい」というメンタルモデルと、駅側が求める物理的な行動が乖離している証拠です。
  • 物理的距離による混乱: 例えば、ロッカーへの誘導サインが、実際の位置から乖離している事例。新しい駅構造の中に古い情報の継承が混在することで、ユーザーの「ここにあるはずだ」という予測(メンタルモデル)と、物理的な配置が一致していません。
  • 直線的すぎる矢印の罠: サインの矢印が直線的すぎて、空間の奥行きや曲がり角が考慮されていません。これが「自分は今どこを向いているのか」という空間認識の負荷を高め、迷いを生ませる原因となっています。

2. 情報過多が生む「認知負荷」の正体

改札上部のサインも、改善の余地が大きいポイントです。

  • 情報の優先順位: 東京メトロへの乗り換え案内など、本来であれば「最も重要度の高い情報」が、その他の雑多な情報と等価に扱われ、ノイズとなってユーザーの判断を鈍らせています。
  • 空間との不整合: 東口・西口の表記があっても、そもそも「駅全体を俯瞰する地図」としての機能が欠けているため、初めてのユーザーにとってその看板は「記号」にしかなっていません。

こうした「認知負荷」の高さは、ユーザーを不安にさせ、滞留を招き、結果として駅全体のUXを著しく低下させています。


3. 「現場の拠点」で行う思考の解像度向上

今回のリサーチ中、駅周辺のカフェを拠点に思考の整理を行いました。移動直後の熱量の高いメモを、その場でデジタルに落とし込む作業は、リサーチの解像度を維持するために不可欠です。

  • 環境の選択と実験室: リサーチ対象から適度な距離を保ちつつ、俯瞰して街を観察できるカフェという場所は、断片的な気づきを体系的なドキュメントへと変換するための「実験室」として機能しました。
  • 思考の定着: 現場で見つけた「違和感」は、数分で記憶の彼方へ消えてしまいます。即座に言語化する環境を確保することこそが、プロとしてリサーチを行う上での重要な戦略です。

※作業カフェ全般は ノマド作業スポットまとめ も参照。


おわりに:UXは画面の外にもある

原宿駅は、新しい建築と古いサイン計画が複雑に同居する、興味深いUXの観察スポットでした。「当たり前にある看板」を疑い、自分の足で違和感を探しに行く。デザイナーとしての視座を鍛えるためには、画面の向こう側にあるリアルな街へのリサーチが、これからも欠かせません。

これからも、この足で歩き、自分の目で見たことを言語化し、街の中に隠れた「UIの課題」を解き明かしていこうと思います。

(本文 随時追記予定)